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ビフォーアフター写真が景表法違反になる4つのパターン|消費者が知るべき見破り方

ダイエットサプリや美容商品の「ビフォーアフター写真」には景品表示法違反のケースが多発。消費者庁の措置命令事例から違反パターンと見破り方を解説します。

公開: 2026-05-09更新: 2026/5/9
ビフォーアフター写真が景表法違反になる4つのパターン|消費者が知るべき見破り方

はじめに:なぜビフォーアフター写真に注意が必要なのか

「飲むだけで−10kg!」「塗っただけでシワが消えた!」——こうした劇的な変化を示すビフォーアフター写真を、健康食品やサプリメント、美容商品の広告で見たことがある方は多いのではないだろうか。

視覚的なインパクトが強いビフォーアフター写真は、消費者の購買意欲を大きく左右する。しかし、その写真が「事実」を正確に伝えているとは限らない。消費者庁は近年、不当なビフォーアフター表示に対して厳しい姿勢で措置命令を出しており、景品表示法(以下「景表法」)違反として摘発されるケースが相次いでいる。

本コラムでは、消費者庁の公開事例をもとに、ビフォーアフター写真が景表法違反となる代表的な4つのパターンを解説する。広告を見る際の「自衛ポイント」として参考にしていただきたい。


景品表示法における「優良誤認表示」とは

ビフォーアフター写真が問題となるのは、主に景表法第5条第1号が禁止する**「優良誤認表示」**に該当するケースである。

景品表示法第5条第1号 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

簡単に言えば、**「実際より著しく良く見せる表示」**は違法ということである。ビフォーアフター写真は、その商品を使えば写真のような効果が得られると消費者に期待させるため、写真の内容や撮影条件が実態と異なれば、優良誤認表示に該当する可能性が高い。


違反パターン①:別人の写真を使用する

実態

最も悪質なパターンが、ビフォーとアフターで別人の写真を使用するケースである。体型が似た別人を撮影したり、インターネット上から無断で写真を転用したりする手口が確認されている。

消費者庁が公表した措置命令事例では、ダイエットサプリメントの広告において、痩せた別人の写真を「使用後」として掲載していたケースが複数存在する。

なぜ違反になるのか

別人の写真を使った場合、その商品を使用した結果として写真のような変化が生じたわけではない。にもかかわらず、あたかも商品の効果であるかのように表示することは、商品の品質・効能について「実際のものよりも著しく優良であると示す」ことに該当し、優良誤認表示となる。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">消費者の自衛ポイント</div>
  • 顔が隠されている写真、体の一部だけの写真は要注意
  • 同一人物であることを示す証拠(ほくろ、傷跡など)が確認できない写真は疑う
  • 「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈があっても、別人使用なら違法
</div>

違反パターン②:撮影条件を意図的に変える

実態

同一人物の写真であっても、撮影時の条件を意図的に変えることで、実際以上の変化があったように見せかけるケースがある。具体的には以下のような手法が用いられる。

  • 照明の変更:ビフォーは暗い照明、アフターは明るい照明で撮影し、肌の印象を変える
  • 姿勢・ポーズの変更:ビフォーは猫背、アフターは胸を張って撮影し、体型が変わったように見せる
  • カメラアングルの変更:ビフォーは太く見える角度、アフターは細く見える角度で撮影
  • 撮影距離の変更:遠近法を利用して体型の印象を操作

なぜ違反になるのか

消費者は、ビフォーアフター写真を見る際、撮影条件が同一であることを前提に商品の効果を判断する。撮影条件を意図的に変えることは、商品の効果を「実際のものよりも著しく優良であると示す」ことに該当する。

消費者庁は、痩身効果を標榜するサプリメントの広告において、撮影条件の操作によって実際には生じていない痩身効果があったかのように表示していた事業者に対し、措置命令を出している。


違反パターン③:画像加工・修正を行う

実態

デジタル技術の発達により、画像加工ソフトを使った写真の修正が容易になっている。ビフォーアフター写真においては、以下のような加工が行われることがある。

  • ウエストを細くする加工
  • シワやシミを消す加工
  • 肌色を明るくする加工
  • 髪のボリュームを増やす加工

なぜ違反になるのか

画像加工によって生じた変化は、商品の使用による効果ではない。にもかかわらず、商品の効果として表示することは、優良誤認表示に該当する。

特に近年は、AIを活用した高度な画像加工も可能になっており、一般消費者が加工の有無を見抜くことは困難になっている。このため、消費者庁は「打消し表示」(※画像はイメージです等の注釈)があったとしても、主要な訴求部分が不当であれば違反になるとの見解を示している。

<div class="callout-tip"> <div class="callout-title">合理的根拠の提出命令</div>

消費者庁は、効果・効能の表示について疑義がある場合、事業者に対して「合理的な根拠を示す資料」の提出を求めることができる(景表法第7条第2項)。事業者が十分な根拠を提出できない場合、その表示は不当表示とみなされる。これを**「不実証広告規制」**という。

</div>

違反パターン④:例外的な結果を一般的な効果として表示する

実態

実際に商品を使用して効果が出た人の写真であっても、その結果が例外的・特殊なケースであるにもかかわらず、あたかも一般的に得られる効果であるかのように表示する場合は問題となる。

例えば、100人中1人だけに顕著な効果が出た場合、その1人の写真だけを大きく掲載し、「※個人の感想です」「※効果には個人差があります」という小さな注釈をつけるケースがある。

なぜ違反になるのか

消費者庁は、いわゆる「打消し表示」について、繰り返し問題点を指摘している。2017年に公表された「打消し表示に関する実態調査報告書」では、以下の見解が示された。

強調表示と打消し表示が矛盾するような場合や、打消し表示の内容が強調表示からは一般消費者が通常予期できないものである場合には、打消し表示がどのような表示方法であったとしても、一般消費者に誤認を与えるおそれがあると考えられる。

つまり、「※個人差があります」という注釈をつけても、劇的な効果を強調する表示の違法性は免れないということである。


消費者庁による措置命令の実例

消費者庁は、ビフォーアフター表示を含む不当表示に対して、多数の措置命令を出している。以下は公表されている主な事例の傾向である。

ダイエットサプリメント関連

消費者庁は2019年以降、「飲むだけで痩せる」といった表示を行ったダイエットサプリメント事業者に対し、相次いで措置命令を出している。これらの事例では、痩身効果を裏付ける合理的根拠が示されなかったことが違反認定の理由となっている。

美容関連商品

シワ改善、シミ消し、美白効果などを標榜する化粧品・美容機器についても、ビフォーアフター表示が問題となった事例がある。特に「塗るだけでシワが消える」といった即効性を強調する表示は、合理的根拠がないとして措置命令の対象となっている。

措置命令を受けた場合の影響

措置命令を受けた事業者は、以下の対応が求められる。

  • 違反行為の差止め
  • 再発防止策の実施
  • 消費者への周知(新聞広告等での公示)

さらに、2016年の景表法改正により導入された課徴金制度により、違反事業者には売上額の3%相当の課徴金が課される可能性がある。


消費者が取るべき行動

購入前の確認ポイント

ビフォーアフター写真を見る際は、以下の点を確認することをお勧めする。

  1. 同一人物であることが確認できるか:顔、ほくろ、背景などを確認
  2. 撮影条件が同一か:照明、ポーズ、カメラアングルを比較
  3. 使用期間と条件が明示されているか:「3ヶ月使用」「食事制限と運動を併用」などの条件
  4. 科学的根拠が示されているか:臨床試験データ、論文引用などの有無
  5. 打消し表示の内容:「※個人差があります」だけでなく、具体的な条件が示されているか

被害に遭った場合の相談先

もし、ビフォーアフター写真を信じて商品を購入し、期待した効果が得られなかった場合は、以下の窓口に相談することができる。

<div class="callout-warn"> <div class="callout-title">困ったときの相談先</div>

**消費者ホットライン「188」(いやや)**に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながる。相談は無料で、専門の相談員が対応してくれる。

定期購入の解約トラブル、返金請求、クーリング・オフの方法など、具体的なアドバイスを受けることができる。

</div>

まとめ

ビフォーアフター写真が景表法違反となる4つのパターンを整理すると、以下のとおりである。

  1. 別人の写真を使用する:最も悪質なパターン
  2. 撮影条件を意図的に変える:照明、姿勢、アングルの操作
  3. 画像加工・修正を行う:デジタル技術による虚偽表示
  4. 例外的な結果を一般的な効果として表示する:打消し表示では免れない

消費者庁は、こうした不当表示に対して厳しい姿勢で臨んでおり、措置命令・課徴金の事例は年々増加している。消費者としては、劇的な効果を謳う広告には慎重な姿勢で臨み、複数の情報源を確認してから購入を判断することが重要である。

本コラムは法的助言を目的としたものではなく、個別の事案については弁護士等の専門家への相談をお勧めする。


出典