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妊娠中・授乳中に使える市販薬・使えない市販薬の見分け方|安全に選ぶためのポイント

妊娠中や授乳中でも使える市販薬と避けるべき市販薬の見分け方を解説。添付文書の読み方や成分チェックのコツ、相談先まで詳しく紹介します。

公開: 2026-09-11更新: 2026/9/11

はじめに|妊娠中・授乳中の市販薬選びは慎重に

妊娠中や授乳中は、ちょっとした体調不良でも「薬を飲んでも大丈夫だろうか」と不安になるもの。市販薬(OTC医薬品)の中には、妊婦や授乳婦が使用できるものもあれば、避けるべきものもある。

大切なのは、自己判断で服用せず、正しい情報をもとに選ぶこと。このコラムでは、市販薬の添付文書の読み方から、注意すべき成分、相談先まで詳しく解説する。

⚠️ 重要な前提

このコラムは一般的な情報提供を目的としており、個別の医療アドバイスではない。実際の服用は必ず医師・薬剤師に相談すること。

市販薬の添付文書を確認する方法

市販薬には必ず「添付文書(説明書)」が同封されている。妊娠中・授乳中の使用可否を判断するうえで、最も重要な情報源となる。

チェックすべき3つのポイント

チェック項目確認場所注目すべき記載
使用上の注意「してはいけないこと」欄「妊婦または妊娠していると思われる人」の記載
相談すること「相談すること」欄「妊婦または妊娠していると思われる人」「授乳中の人」の記載
成分表示「成分・分量」欄避けるべき成分が含まれていないか

「してはいけないこと」と「相談すること」の違い

添付文書には「してはいけないこと」と「相談すること」という2つの重要な項目がある。これらの違いを理解しておくことが大切。

記載欄意味対応方法
してはいけないこと使用が禁止されている絶対に服用しない
相談すること使用前に専門家への相談が必要医師・薬剤師に相談してから判断

💡 添付文書がない場合

外箱や製品の公式サイトでも確認できる。PMDAの「医薬品医療機器等安全性情報」サイトでも検索可能。

妊娠中に注意が必要な市販薬の成分

妊娠中は胎児への影響を考慮する必要がある。特に避けるべき成分と、比較的安全とされる成分を知っておくことが重要。

妊娠中に避けるべき主な成分

成分名含まれる薬のタイプ避ける理由
イブプロフェン解熱鎮痛薬妊娠後期に胎児の動脈管閉鎖のリスク
ロキソプロフェン解熱鎮痛薬妊娠後期に胎児の動脈管閉鎖のリスク
アスピリン(大量)解熱鎮痛薬出血傾向、胎児への影響
コデイン類咳止め胎児の呼吸抑制のリスク
ビタミンA(大量)ビタミン剤胎児の奇形リスク

比較的安全とされる成分(医師・薬剤師に相談のうえ使用)

成分名含まれる薬のタイプ備考
アセトアミノフェン解熱鎮痛薬妊娠全期間を通じて比較的安全とされる
酸化マグネシウム便秘薬体内にほとんど吸収されない
ビタミンB群ビタミン剤通常量であれば問題なし

🚨 妊娠時期による違い

妊娠初期(器官形成期)、中期、後期で薬の影響は異なる。「安全」とされる薬でも時期によっては注意が必要な場合がある。

授乳中に注意が必要な市販薬の成分

授乳中は、服用した薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんに移行する可能性がある。移行量は成分によって異なるため、個別の確認が必要。

授乳中に避けるべき・注意が必要な主な成分

成分名含まれる薬のタイプ注意点
ジフェンヒドラミン睡眠改善薬・アレルギー薬乳児の眠気、興奮の可能性
コデイン類咳止め乳児の呼吸抑制リスク
クロルフェニラミンアレルギー薬・総合感冒薬乳児への移行あり、要注意
プソイドエフェドリン鼻炎薬母乳分泌減少の可能性
センナ・ダイオウ便秘薬乳児の下痢を起こす可能性

授乳中でも比較的使用しやすい成分

成分名含まれる薬のタイプ備考
アセトアミノフェン解熱鎮痛薬母乳への移行が少ない
イブプロフェン解熱鎮痛薬短時間で代謝され移行量が少ない
ロラタジンアレルギー薬母乳への移行が比較的少ない

💡 服用のタイミング

授乳直後に服用すると、次の授乳までに薬の血中濃度が下がり、赤ちゃんへの影響を減らせる場合がある。

症状別|妊娠中・授乳中の市販薬選びの目安

頭痛・発熱の場合

妊娠中も授乳中も、第一選択はアセトアミノフェン単剤の製品。イブプロフェンは妊娠中(特に後期)は避け、授乳中は比較的使用可能とされる。

カフェインを含む製品も多いため、成分表示をよく確認すること。カフェインは妊娠中の過剰摂取に注意が必要。

鼻水・鼻づまり・アレルギー症状の場合

内服薬よりも、まずは点鼻薬や点眼薬など局所作用の薬を検討する。全身への吸収が少なく、影響が限定的になる。

内服が必要な場合は、抗ヒスタミン薬の世代や成分による違いを理解したうえで、薬剤師に相談して選ぶ。

便秘の場合

酸化マグネシウムなど、腸で水分を集めて便を軟らかくするタイプが第一選択。刺激性下剤(センナ、ビサコジルなど)は子宮収縮や乳児への影響が懸念される。

咳・のどの痛みの場合

トローチやのど飴、うがい薬など局所作用のものを優先する。咳止め成分のコデイン類は妊娠中・授乳中ともに避ける。

デキストロメトルファンは比較的安全とされるが、必ず相談のうえで使用する。

市販薬を選ぶ際の5つの実践ポイント

1. 単一成分の製品を選ぶ

総合感冒薬のように複数の成分が入った製品より、症状に合った単一成分の製品を選ぶ方が安全性を判断しやすい。不要な成分を摂取するリスクも減らせる。

2. 添付文書の「使用上の注意」を必ず確認

「妊婦または妊娠していると思われる人」「授乳中の人」の記載がある場合は、その指示に従う。記載がない場合でも、念のため相談するのが望ましい。

3. 購入時に薬剤師に申告する

薬局やドラッグストアで購入する際、妊娠中または授乳中であることを必ず伝える。薬剤師は状況に応じた適切な製品を提案できる。

4. かかりつけ医にも報告する

市販薬を使用した場合は、次の妊婦健診や母乳相談の際にかかりつけ医に報告する。処方薬との相互作用を確認する意味でも重要。

5. 使用は最小限に

市販薬に限らず、薬の使用は必要最小限にとどめる。症状が軽い場合は、薬以外の対処法(休養、水分補給など)も検討する。

判断に迷ったときの相談先

自己判断で服用を決めるのではなく、専門家に相談することが最も安全な方法。

相談先特徴連絡方法
薬局・ドラッグストアの薬剤師購入時にその場で相談可能店舗で直接相談
かかりつけ産婦人科医妊娠経過を把握したうえでの判断が可能受診時または電話
妊娠と薬情報センター(国立成育医療研究センター)妊娠中の薬に関する専門的な情報提供電話またはWebから相談
授乳中の薬について(各都道府県の相談窓口)地域によって母乳相談窓口あり各自治体に確認

💡 妊娠と薬情報センター

国立成育医療研究センター内に設置された専門機関。妊娠中に薬を飲んでしまった場合の相談にも対応している。

「飲んでしまった」場合の対応

妊娠に気づく前や、うっかり禁忌の薬を飲んでしまった場合、過度に心配する必要はないが、速やかに医師に相談することが大切。

多くの場合、1〜2回の服用で重大な影響が出る可能性は低いとされる。ただし、薬の種類や服用量、妊娠週数によって状況は異なる。自己判断で中絶を考えるなど、極端な行動は避けること。

まとめ|安全な市販薬選びのために

妊娠中・授乳中の市販薬選びで最も大切なのは、「自己判断しないこと」と「専門家に相談すること」。添付文書をよく読み、避けるべき成分を把握したうえで、不明点は薬剤師や医師に確認する習慣をつけることが安全につながる。

体調不良は我慢せず、かといって安易に薬に頼らず、適切な選択ができるよう正しい知識を身につけておくことが、母子の健康を守る第一歩となる。


出典:

  • 厚生労働省「妊娠と薬情報センター」
  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「一般用医薬品の添付文書情報」
  • 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
  • 厚生労働省「授乳中の薬の影響」に関する情報提供資料