OTC類似薬の「上乗せ料金」とは?2027年3月から病院の薬で何が変わる
2027年3月から、市販薬と同じ成分の処方薬に「上乗せ料金」がかかります。保険適用は続きますが、薬代の4分の1が追加負担に。対象・金額・かからない人を解説します。
結論:保険はなくならないが、一部の薬で負担が増える
2027年3月から、病院でもらう薬の一部で「上乗せ料金」が始まります。
保険適用がなくなるわけではありません。 従来の1〜3割負担は残ったまま、対象の薬だけ追加の負担が発生します。
対象は「市販薬でも買える成分」を含む処方薬です。 ロキソニン、アレグラ、ヒルドイドなど、なじみ深い薬が多く含まれています。
💡 まず確認したい方へ
対象の薬や制度の全体像はOTC類似薬の上乗せ料金ガイドで詳しく解説しています。
「上乗せ料金」とは何か
正式名称は「OTC類似薬の特別の料金」です。 根拠となる改正健康保険法は、2026年5月に成立しました。
仕組みをひとことで言うと
対象の薬を処方されたとき、薬代の4分の1が追加負担になります。
従来の定率負担(1〜3割)とは別に、上乗せ料金がかかります。 診察料や調剤料などの技術料は、これまでどおり変わりません。
対象となる薬の条件
次の3つをすべて満たす処方薬が対象です。
- 市販薬と同じ成分である
- 投与経路が同じ(飲み薬・塗り薬など)
- 1日の最大用量が市販薬と同等
こうした薬を「OTC類似薬」と呼びます。 「市販薬で代替できる可能性がある薬」という意味です。
いつから、いくらかかるのか
実施時期
2027年3月(令和8年度中)に開始予定です。
対象品目の最終決定は、国の告示で確定します。 現在の情報は「案」の段階であることにご注意ください。
上乗せ料金の計算方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上乗せ料金 | 対象薬剤の薬価の4分の1 |
| 定率負担 | 残り4分の3に対して1〜3割 |
| 技術料 | 従来どおり(変更なし) |
⚠️ 計算のポイント
上乗せ料金は薬価そのものの4分の1です。定率負担は、上乗せ後の残額に対してかかります。
薬代1,000円の薬を例にすると
| 負担割合 | 従来の負担 | 新制度での負担 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 3割負担 | 約300円 | 約480円 | +約180円 |
| 2割負担 | 約200円 | 約400円 | +約200円 |
| 1割負担 | 約100円 | 約330円 | +約230円 |
増加額は負担割合が低い方ほど大きくなります。 これは上乗せ料金が「割合に関係なく一律4分の1」だからです。
対象となる薬の例(案)
厚生労働省が2025年12月に示した案では、77成分・約1,100品目が対象候補です。
代表的な対象薬(案)
| 分類 | 薬の例 |
|---|---|
| 痛み止め | ロキソニン(ロキソプロフェン) |
| アレルギー薬 | アレグラ、アレジオン、クラリチン、タリオン、ザジテン |
| 点鼻薬 | フルナーゼ、ナゾネックス |
| 塗り薬(痛み止め) | ボルタレン外用、セルタッチ、インテバン |
| 塗り薬(保湿) | ヒルドイド(ヘパリン類似物質) |
| ステロイド外用薬 | リンデロンV、ベトネベートN、ロコイド |
| 去痰薬 | ムコダイン(カルボシステイン) |
| 風邪薬 | PL配合顆粒 |
| 便秘薬 | マグミット、ラキソベロン、テレミンソフト坐薬 |
| 抗真菌薬 | ラミシール外用 |
| 抗ウイルス薬 | ゾビラックス軟膏 |
| その他 | イソジン、白色ワセリン、ケラチナミン、MS温シップ |
対象外となる薬の例(案に含まれない)
以下の薬は、現時点の案には含まれていません。
- カロナール(アセトアミノフェン単剤)
- ガスター(ファモチジン)
- ジルテック、ザイザル(抗アレルギー薬の一部)
- モーラステープ(ケトプロフェン)
- リンデロンVG(ゲンタマイシン配合のため)
- 漢方薬全般(葛根湯など)
- ロペミン、ナウゼリン、メジコン
自分の薬が対象か、名前で調べることができます。
実際の上乗せ額はいくらか
薬価基準(2026年8月時点)をもとに、具体的な金額を見てみましょう。
| 薬の名前 | 薬価 | 上乗せ額 |
|---|---|---|
| ロキソニン錠60mg | 10.8円/錠 | 約2.7円/錠 |
| アレグラ錠60mg | 20.9円/錠 | 約5.2円/錠 |
| ヒルドイドソフト軟膏0.3%(25g) | 17.7円/g | 約111円/本 |
| ロキソニンテープ100mg | 18.2円/枚 | 約4.6円/枚 |
| マグミット錠330mg | 6.3円/錠 | 約1.6円/錠 |
| ムコダイン錠500mg | 10.8円/錠 | 約2.7円/錠 |
| ゾビラックス軟膏5% | 90.6円/g | 約22.7円/g |
多くの薬で、1回の処方あたり数十円〜数百円の増加が見込まれます。
ジェネリック医薬品は薬価が安いため、上乗せ額も小さくなります。
上乗せ料金がかからない人
以下に該当する方は、対象外とする方向で検討されています。
対象外となる見込みの人
- こども
- がん・難病など配慮が必要な慢性疾患のある人
- 低所得者
- 入院患者
- 医師が長期使用等を医療上必要と判断した人
🚨 まだ検討中です
詳細は厚生労働省の検討会で整理中です。正式決定は今後の告示をお待ちください。
今後の見通し
2027年度以降は拡大の可能性
政府は、令和9年度(2027年度)以降について次の検討を予定しています。
- 対象範囲の拡大
- 料率(現在は4分の1)の引き上げ
政府はこの制度で年約900億円の医療費削減を見込んでいます。
市販薬への切り替えは慎重に
「上乗せ料金がかかるなら市販薬にしよう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、自己判断での切り替えはおすすめしません。
切り替え前に確認すべきこと
- 市販薬と処方薬では、含有量が異なることがある
- 持病や他の薬との飲み合わせに注意が必要
- 症状の経過を医師が把握できなくなるリスク
気になる方は、かかりつけの薬剤師・医師にご相談ください。 費用と安全性のバランスを一緒に考えてもらえます。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2027年3月予定 |
| 上乗せ額 | 対象薬剤の薬価の4分の1 |
| 対象 | 77成分・約1,100品目(案) |
| 対象外の人 | こども、難病患者、低所得者など(検討中) |
| 保険適用 | 継続される(なくならない) |
制度の開始後も、保険診療は続きます。 必要以上に不安にならず、正確な情報を確認しましょう。
最新情報や自分の薬が対象かどうかは、OTC類似薬の上乗せ料金ガイドでご確認いただけます。
この記事は、法律や制度の一般的な解説を目的としています。 個別の症状・治療についての判断は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
出典:
- 厚生労働省「OTC類似薬の特別の料金の考え方」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621875.pdf
- 厚生労働省「対象77成分一覧(案)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621851.pdf